愛犬が膵炎に。食事を食べない時の原因と治療法を解説
調布市、三鷹市、府中市の皆様、こんにちは
東京都調布市の西調布犬猫クリニックです。
普段は元気なワンちゃんが突然、食事を食べなくなったら飼い主さんは不安に感じることかと思います。
それがもしも膵炎(すいえん)による影響であれば、注意すべきことがいくつかあります。
今回はそんな愛犬が膵炎になって食事を食べない時の原因と対処法をわかりやすく解説します。
炎症を起こしている膵臓(PANCREAS)。
正常な膵臓(PANCREAS)
▼そもそも膵炎とは
膵炎とは、文字通り膵臓に炎症が生じる病気です。
膵臓も胃や腸と同じ消化器官のひとつなので、胃腸炎同様、細菌やウイルスへの感染によって炎症が引き起こされそうなものですが、実際は異なります。
◎原因は消化酵素
膵臓は、タンパク質を分解する酵素の“前駆体(トリプシノゲン)”が産生される臓器です。
あくまで前駆体であり、膵臓にある時点では酵素活性を持っておらず、トラブルの原因にもなりませんが、何かの拍子の活性化されることで「トリプシノゲン→トリプシン」という変化が起こります。その結果、膵臓自体に消化作用が働き、炎症を引き起こすのです。
▼膵炎の症状
膵炎は、急性膵炎と慢性膵炎の2つに大きく分けられますが、どちらにも食欲不振という症状が認められます。食事を食べる気持ちが起こらず、元気の消失も伴います。その他、嘔吐や腹痛などが認められることがありますが、どれも膵炎特有の症状ではないため、飼い主さんにとっては原因がよくわからず、戸惑ってしまうことでしょう。
▼検査方法
膵炎の一般的な検査方法は血液検査にてv-LIP、Spec-cPL、炎症マーカーCRPなどの上昇を確認します。ただしこれらの数値だけで膵炎と診断できません。超音波検査にて膵炎を疑うような所見があるかどうかも重要です。そして何より大事なのが症状があるかどうかです。食欲不振、嘔吐、腹痛、下痢などの症状がない場合、v-LIP、Spec-cPLの数値が上昇していたとしても膵炎でないこともありますので注意が必要です。
▼治療方法
発症した膵炎の治療については多岐に渡りますが、一般的には制吐剤による嘔吐のコントロール(ファモチジンなどの制酸剤、プリンペラン、オンダンセトロン、マロピタントなどの制吐剤)、腹痛に対する痛みのコントロール(ブトルファノール、ブプレノルフィン、フェンタニルなど)、さらに支持療法も重要です。膵炎が落ち着くまで体を弱らせないために点滴やチューブフィーディングなどを行います。そのほかに蛋白分解酵素阻害剤や全身性に炎症が波及した場合に血栓ができないように抗血栓剤の投与などを行います。過剰な炎症反応を食い止めるために好中球の遊走を阻害する薬剤(ブレンダZ)などを使用することもあります。膵炎は炎症がエスカレートしてしまうと歯止めが効かなくなります。当院ではまずしっかりと膵炎であるかを診断し、膵炎と診断したならばなるべく早期に積極的な治療を行います。いかに膵炎の初期に炎症の炎を沈静化できるかが肝です。膵炎は生死に関わる疾患です。なんとなくの中途半端な治療を行なって、悪くなっていってからいざ色々やっても手遅れになることがあります。
▼食欲不振への対処法
ワンちゃん膵炎にかかったら、まずは治療に専念することが大切です。連続する嘔吐や発熱、強い腹痛などが見られる急性膵炎では、絶食が必要となります。
急性期に無理やり食事を摂らせようとすると、消化酵素の産生が促進され、膵臓をさらに損傷してしまうため十分な注意が必要です。
ただし、自己判断で絶食を開始するのは良くありません。必ず獣医師の診断を受けた上で、治療の一環として絶食を行うようにしてください。
症状が落ち着いてきたら今度はなるべく早く絶食を解除し、食べてもらうことが重要になります。
▼急性期を過ぎた後の食事について
◎低脂肪食を心がける
絶食や輸液、投薬治療によって膵炎の症状が改善してきたら、ご自宅での食事を膵臓への負担が少ないものに変えてください。
膵炎は根本的な原因が解明されていない病気ではあるものの、高脂肪食との関連が深いことはわかっています。ですから、毎日の食事は低脂肪食に変えることが有効です。
また、質の高い脂肪を摂ることによって、消火器への負担はさらに減らせます。
◎低糖質であることも大切
膵臓が産生するのは、タンパク質分解酵素だけではありません。血糖値を下げるインスリンも分泌する臓器であるため、膵炎を患った際には糖質の摂取量にも気を配る必要があります。
血糖値の上昇が緩やかな低糖質の食べ物を選ぶことで、膵臓への負担を減らせます。
さらには、高消化性タンパクが使われたフードを食べさせてあげることで、膵臓だけでなく、胃や腸にも良い影響が現れることでしょう。
▼膵炎を予防するための食事
犬の膵炎は、飼い主さんが普段食べている唐揚げやドーナツを盗み食いすることでリスクが大きく上昇します。
ですから、ヒトが食べる脂っこいものをワンちゃんが盗み食いできないような環境を整えることが大切です。
また、普段から低脂肪の食事を意識することで、犬の膵炎は予防しやすくなります。
発症しやすい犬種としてはプードル、シュナウザー、コッカースパニエル、チワワ、ヨークシャーテリアなど
肥満も膵臓に負担がかかりますので適切な体重を維持しましょう。
▼まとめ
今回は、愛犬が膵炎になって食事を食べない時の原因と対処法を解説しました。
食欲不振の原因が膵炎であることは、獣医師でなければわからないため、食事を食べなくなったらまず動物病院で観てもらい適切な診療を受けることが大切です。
その上で獣医師の指示に従い、適切な食事管理を行っていきましょう。
調布市、三鷹市、府中市にお住まいの方はぜひご相談ください。もちろん他の地域からのご相談もお受け致しております。
西調布犬猫クリニック